よくあるご質問 Q&A

こちらではみなさまから寄せらせる疑問やご質問にお答えしたいと思います。

不眠症についてのご質問

眠れないのは病気でしょうか?

悩み事があって眠れないのは病気ではないでしょうが,何日も眠れない場合,不眠の背後に,病気が隠れている可能性があります。
お父さん眠れてる?」っていう啓発ポスターは良くできていると思います。不眠から精神疾患に発展する事もありますので,分かりやすい 一つのサインと考えて,早めの受診をお勧めします。

眠れないのでお酒で眠っていますが、良いですか?

お酒を飲んで眠くなる”のは,問題ないですが,“眠るためにお酒を飲む” のは,お勧めしません。休肝日の無い飲酒の弊害は,体だけに留まりません。
    1.眠りが浅くなる
    2.飲酒量が増えていく
    3.二次性のうつ病を誘発する
    4.薬との相乗効果が出現する

睡眠薬は依存性があるのではないですか?

身体的な依存はないと言われています。基礎疾患を考慮して,種類を選別し,ある時期は継続使用の後,寝れない時だけ,服用していくべきと考えます。

睡眠薬のご使用について注意すべき点

睡眠薬ご使用について、特にご注意いただきたい点です。
    1.お酒との併用は絶対におやめください
    2.それぞれの睡眠薬に特徴があります。リズム調整役,筋弛緩作用,作用時間,主治医とよく相談されてください。

うつ病についてのご質問

うつ病になったら一生治らないって本当ですか?

初期治療が大切です。治療中断による再発を繰り返す事が一番の心配です。
ただし,治療には時間がかかるため,治らないと勘違いされやすいです。

うつ病の治療はどれ位の期間かかりますか?

しっかり症状がなくなってから,最低でも半年間は治療継続する事が勧められています。
治療継続中にストレス耐性を身に着ける事が大切です。

うつ病は性格の問題でしょうか?

昔は,病前性格といって元来まじめなで融通の利かない人がなりやすいって言っていました。
現在は,ストレス社会です。長期間ストレスにさらされ続ける事で誰もがなりうる病気と考えられています。 WHOの推計では,日本のうつ病の生涯有病率は,15%です。実に,7人に1人は,一生のうちに一回はうつ病にかかることになります。

うつ病の治療法はどんなものがありますか?

十分な休養と抗うつ剤治療が一番勧められます。今は,昔に比べて副作用の少ない抗うつ剤がたくさんあります。 ご本人に合う薬を見つける事が大切です。

うつ病で治療していますが,なかなか良くなりません。

いわゆる難治性のうつ病の場合と2年前位から学会で注意喚起されている躁うつ病Ⅱ型があります。
    1.難治性うつ病
      2種類以上の抗うつ薬を数か月続けてもうつ状態が改善しない場合です。増強療法として
      抗うつ剤以外の薬を使用する事が勧められています。
    2.躁うつ病Ⅱ型
      長いうつ状態と短期間の軽い躁状態を繰り返します。軽い躁状態は,多くの場合,良くなっ
      たと認識されますが,うつが良くなった後に元気だけど何かイライラした感じを伴います。
      うつ病とは治療薬が異なりますので,注意が必要です。

うつ病と身体疾患について

内科で検査しても異常がないと言われるんですけど?

ストレスは,体の弱い所に症状が出ます。胃腸が弱い人は,胃痛や便秘・下痢,喘息持ちの人は喘息が悪化します。 身体疾患が長引いたり,繰り返す時は,心の不調にも注意しましょう。

ストレス関連疾患ってなんでしょうか?

ストレスが引き金になって体の症状が出現します。多く認めるのは頭痛です。頭痛は一度,脳外科でのMRIを含めた検査をお勧めします。
・筋収縮性頭痛(肩こりがひどくて頭痛を誘発する)
・偏頭痛(ズキン・ズキンと,拍動性の頭痛がする)
この二つは,ストレス関連と思います。動悸・めまいもよくある症状です。

痛みとうつ病が関連しているって本当ですか?

慢性疼痛,糖尿病性の神経痛,繊維筋痛症といった痛みに抗うつ剤の効果が実証されています。
セロトニンとノルアドレナリンが痛みを感じる神経との関連があるためですが,これらは共にうつ状態を誘発する因子でもあります。

もの忘れについてのご質問

物忘れをします。認知症でしょうか?

物忘れとして気付かれる疾患には,3つあります。
    1.認知症
      昔の事は覚えているけど最近の事はすぐに忘れてしまう。最も多いのは,アルツハイマー型
      認知症です。これは記憶に関係する海馬の神経細胞が死んでしまう事によっておこります。
      認知症の進行を遅らせる薬が使われます。
    2.うつ病
      ストレスのために海馬の神経細胞が栄養失調になって機能がゆっくりになります。このため
      抑制症状と言われる億劫な感じが出現して,考えや行動がゆっくりになります。ご本人は,
      ゆっくりになってしまいますが,周囲の速度は変わらないため,周囲のペースについていけ
      ません。このため,物忘れとして認識される事があります。
    3.ADHD(注意欠陥障害)
      前頭葉領域のノルアドレナリンの欠乏によって起きます。いろいろな事が気になって,手が
      つかず,何か始めると他の事が気になって,あれもこれもと注意が散漫になるために結果と
      して,やるべき事(言われた事)を忘れてしまいます。
      治療していくと「頭の中の忙しい感じが減りました」と言われる事が多いです。

その他のご質問

動悸・息苦しさのために内科を受診しましたが,問題ないと言われました。心療内科を受診すべきでしょうか?

呼吸器,循環器(心臓関係)に問題がなければ『心の病』を疑うべきかと思います。まずは,受診をお勧めしますが, 以下の2つの病気を疑います。
    1.うつ病の身体化症状
      うつ病は,寂しい感じやイライラ感,意欲の低下だけではなく,動悸,息苦しさ,頭重感,
      肩こりといった身体症状を伴う事が多い疾患です。
    2.パニック障害(全般性不安障害)
      死んでしまうのではないかといった恐怖感を伴うのが狭義の定義ですが,動悸・胸痛・窒息感
      を伴う不安を認めます。更に,また同じ症状が起きるのではないかとの不安(予期不安)に苛       まれます。ご本人に合うSSRIを見つけて,徐々に行動制限の緩和する事が治療になります。